女王様のため息

そして。その後も何かと忙しい中、新居への引っ越しは、私の異動が確定する7月中旬という事で、二人で決めた新居をおさえてもらった。

通常なら、そんなに期間をもたせての仮予約は無理らしいけれど、春岡さんの権限でどうにか無理を聞いてもらった。

司は、先に大きな家具やら電化製品を早く運びこみたいらしくて

『早めに借りておこう』

と何度も言っているけれど

『家賃がもったいない』

私のそんな意見に何も反論できず、渋々頷いている。

披露宴で『シャンパンタワー』をする事に決めて、ただでさえ高級ホテルのアマザンでの挙式・披露宴なのに、更に身の丈に合わない金額を用意しなければならない現実を考えると家賃1か月分ほどでももったいなくて躊躇してしまう。

お互いの両親から、援助はすると言ってもらってはいるけれど、いい大人の私達が全て親任せというのもおかしい。

親に頼るのも親孝行だとも思うけれど、ほどほどにしようと、司と決めた。

日々忙しく、慌ただしい私達だけど、少しずつ決まっていく二人の未来が嬉しくて仕方がなかった。




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