女王様のため息
重い気持ちを抱えていても、一人暮らしの私にはするべき事がたくさんあるわけで。

「とりあえず、お風呂入ろうっと」

お気に入りの『温泉の素』でも入れて、のんびりお風呂で心身ともに癒やすことにした。

のろのろとお風呂の準備をしながら、夕べソファに放り投げたままの鞄から零れ落ちてる中身にため息をついた。

司の車から飛び出した後気持ちの収集がつかなくて、手にしていた鞄はソファへと飛んでいき、身に着けていたスーツも脱ぎ散らかして……と思ったけれど、悲しいかな『しわになる』と思った私は、普段通りに淡々とハンガーにかけてベランダに干してからベッドにダイブした。

失恋して心は傷ついて、来週からの会社での身の置き方をどうすればいいのやらと悩みながらもスーツのしわを気にしている私って、なんだかなあ。

ずっと思い続けている司に、その気持ちがばれて、その途端に振られたのにスーツのしわか。

さすが女王様だな。

と一人の部屋で独り言。……寂しい。

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