女王様のため息
もしかしたら司からの着信?と思って慌てて確認すると、海からの電話が5件あった。

「やばっ。昨日のコンパの事、まだ怒ってるのかな」

何気なく操作していると、メールも何件かあった。

『コーヒー持っていくからちゃんと起きてろよ』

海からのそんなメッセージが1時間前に入っていて、その文面からでは海の機嫌の良し悪しが読み取れないことに不安が少し。

時々、おじさんから頼まれてコーヒーの粉を持って来てくれるから、来る事自体はおかしくはない。

けれど、まさか今日来なくてもいいでしょう。私はがっくりと肩を落とした。

きっと、昨日のコンパの事で嫌味やら言われるんだろうな。

そして、手元のスマホの受信画面をスクロールしていくと、思わずどきっとしてスマホを落としてしまいそうになった。

司からのメールだ。

そう気づいた途端に、夕べ司が私に落とした唇の温度が再び感じられるようで、思わず指先で唇をなぞってしまう。

触れ合った時間は大して長くはなかったけれど、車という密室で交わしたキスは、司の体全体で気持ちを注がれるような錯覚を感じるくらいに濃密だった。



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