女王様のため息
パチパチとパソコンにデータを打ち込み、その日の業務もそろそろ終了かという頃、ふと気付けば総務部には私一人しか残っていなかった。

あと一週間もすれば、株主総会の準備が本格的に始まる。

そうなると部内の忙しさは半端なものじゃなくなるせいか、今のうちに早く帰る人が多い。

嵐の前のなんとやら、だ。

ふっと息を吐いて、椅子に座ったまま大きく体を伸ばすと、体中がぼきぼきと音を立てる。

私の体、どれだけ凝ってるんだろ。

早く帰れるのならマッサージにでも飛び込むんだけどな。

それも無理か。

今度のボーナスでマッサージチェアでも買ってやろうか、いや、あの狭い部屋のどこに置くんだ。

それからしばらくの間体をストレッチさせながら、パソコンの電源を落としていると、部署の入口に人影が見えた。

もう遅いし、巡回の警備の人かと視線を動かすと。

「コンパじゃなかったのかよ」

くすくすと笑いながら入って来たのは、同期の宗崎司だった。



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