女王様のため息
「進めていいだろ?俺と、真珠の関係を、先に進めていいだろ?」
甘い言葉が吐息とともに落とされて。
ちらりとカウンターの先に視線を投げた司は、そのまま顔を私に近寄せると。
ちょうどお客さんが多くて、カウンターの向こうにいる店長をはじめ、お店の人たちが忙しそうに動き回っているのを確認した。
一瞬にやりと笑ったかと思うと、そのまま私にキスをした。
リップ音も何もしない、軽くかすめる程度のキスだったけど、思いがけない瞬間に、私は瞬きすらできないまま固まってしまった。
これまで何度も二人で並んで、おいしいものを食べて、ほろ酔い気分で笑顔を作ったこの席。
予想もしなかった事をされてしまって、驚かない訳がない。
私は、呆然と動けないまま、ゆっくりと離れていく司の顔を見つめるしかできなかった。
「これで2回目。3回目のキスは、店出たらしてやるから。
真珠、ちゃんと、俺のもんにならないか?」