女王様のため息


「俺のもんって……。だって、司には……」

「俺には、彼女がいるって?」

「う、うん。……大学時代からの……かわいい……彼女」

私の脳内の整理機能がマヒしているのか。

言葉がうまくつなげられないどころか、現実が上手に理解できなくて、思いつくだけの単語を並べるしかできない。

司にはかわいい彼女がいて、とても大切にしていて。

司がいないと不安定になるような、司の事が大好きな彼女がいるのに、どうして

『俺のもんにならないか?』

って言えるんだろう。

「司……?」

混乱する気持ちがそのまま私の顔に出ているはずで、普段なら司が困るようなそんな表情は出さないけれど、今はそんなことに構う事もできない。
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