女王様のため息
からめられた指を握り返して、言葉を促すように視線を向けると、少しほっとしたような司の視線と絡んだ。
「真珠はがっかりするかもしれないし、俺の事、幻滅するかもしれないけど。
お前との関係を進めたいから、最後まで、聞いてくれ」
どこか心細げだけど、それでもちゃんと話そうと覚悟を決めたように揺るがない瞳と声音。
きっと、彼女、美香さんとの事を話してくれるんだろうと、そう感じて。
「私も……進めたいから。聞かせて」
意識して、わざとしっかりと答えた。
心の中は荒れていて、緊張で強張っているけれど、それでも、今向かい合う事なくして、司との未来はないような気がした。
知り合ってからずっと近くにいたのに、ようやく、司の懐に入る事ができたんじゃないかと、ふっと笑いも浮かぶ。
「女王様は、強いから、何を聞かされても大丈夫だよ」
……こんな時にもこんな言葉。
それを司が求めているのかはわからないけれど、私自身が傷つかないように、そして、私が傷つく事で、司が傷つかないように、女王様の仮面をつけて。
「……司のこと……嫌いにはならないから……」
ぐっと、唇をかみしめた。