女王様のため息

司の横顔に当たる薄暗い灯りは、店内に施されている雰囲気のある照明から届いている光。

誰かが計算したんだろうというくらいにバランス良く光を落としているけれど。

司に降り注ぐ照明は、座っている位置のせいであまりにも少ない量。

司の顔の殆どはほの暗い空気に包まれていて、その重い空気感そのものが、今の司の心境を表しているようだ。

手元のグラスは既に飲み干されているのに、司の手は、気持ちを落ち着かせるかのように、それをぎゅっと握っている。

そして、一旦途切れた言葉が再びこぼれはじめた。

「美香は、とりあえず俺が側にいる事で心の平安を保っていたんだ。

だけど、別れた恋人と愛し合っていた頃と同じように俺から気持ちを貰えないことに気づいて、で、それを不満に思わないっていう自分の気持ちにもたどり着いたんだよ」

「……え？それってどういう……？」