女王様のため息

「んー。少しずつ美香が強くなってきたってことだな」

「強く」

「そう、強くなった。俺に頼ってばかりで、泣いてばかりだったけど、それだけじゃ満足できないよな、普通。

俺は、側にいるだけで、受け入れるなんてできなかったから」

はあ、と息を吐いて、肩を揺らす司はどこかほっとしたように目を細めた。

予想もしなかった司の言葉に、私の気持ちは混乱しながら、どうにか息をしていた。

司は、彼女と……恋人同士じゃなかったって事になるのかな。

え?付き合ってたわけじゃなかったってこと?

でも、大学時代からの、可愛い彼女だって、同期のみんなが騒いでたのに。

「みんな、司の彼女は可愛いって羨ましがって、騒いでたよ」

思わず、責めるような口調になってしまう。

「みんなが、だろ?俺が『可愛い彼女』って言ってたわけじゃない」

「……」

司は体ごと私に向いて、ゆっくりと、そして何か思いを込めるように。

「美香の側に長い間寄り添っていたけど、ただそれだけで、彼女ってわけじゃなかった……って、今更、もう遅いか?」

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