女王様のため息
「私、司とキスしたこと、それを大切な思い出にしながら次の恋を待たなくちゃいけないのかと思ってた……」

揺らす事のできない瞳を、一生懸命に司に向けて、ようやく出てきた言葉は小さくて弱い。

顔が触れ合うほどに近い距離にいながら、司にちゃんと私の声が届いたのかどうか不安になるほど小さな声。

「真珠に次の恋があるなら、俺が阻止する」

耳元に、小さくても強い声。

「それに、彼女がいる人を好きになって、自分はだめな人間だって落ち込んでた。司に会ってからずっと、苦しかった」

「ああ。苦しんでいる真珠を見ながら、俺も苦しかった」

こつん。

我慢できないかのように、額と額が合わせられた。

俯いた私の視界には、唇をかみしめる司の微動。

声だって、普段とは違ってか細く弱い。

「俺が苦しいって言うのは、わがままだよな。真珠の気持ちを知りながら、それを受け入れられない悔しさに足掻くほどの苦しみなんて、俺が受けなきゃいけない苦しみだ」

「え?私の気持ち……知ってた?」

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