女王様のため息
「ああ。真珠に惚れてるんだ。惚れてる女の気持ちを見抜くなんて簡単だろ」
「惚れてる……」
今、こうして近すぎる距離で言葉を交わしているだけでもこれまでとは全く違う展開なのに、私の気持ちを知っていたり、惚れてるなんて甘い言葉をこぼされたり。
私の中の司への許容量はいっぱいいっぱいで、ただ茫然と見つめ返すだけ。
「えっと……」
「悪い。もう、真珠を俺の側に置きたくて仕方ないんだ。
密な距離感で付き合うだけの同期じゃなくて、ちゃんとした恋人としての関係で惚れた女を側に置きたい。
真珠っていう女を俺のものにしたい」
すっと離れた司の額に寂しさを感じて顔を上げると、その瞬間に感じたのは唇の熱。
他の誰でもない、司の唇の熱さが、私の唇に染み入る喜びを感じて、
『3回目だ』
とたくさんの人でざわめくお店の中だっていう事も忘れたまま、ぼんやりと思った。
そして、これから数えきれないほどのキスを、司と交わせたらいいと願いながら目を閉じた。