女王様のため息
何人かが手を挙げて、その中の一人が正解を答えた。
「それじゃ、わが社が発行している転換社債の転換価額を知っている人はいますか?」
冷静に、なんの感情も含めないような声で、淡々と聞いてみる。
会場の後ろに立っている研修部の部長が苦笑するのが目に入った。
『いじめるなよ』
そう言っているのが聞こえるようだ。
いじめているわけじゃない。これも、れっきとした総務部の業務説明なんだから。
にっこりと笑って部長を見返すと、途端に肩を竦めた部長。
その様子を無視して、新人たちに視線を戻すと。
一人の男の子が手を挙げた。
あ、さっきの男の子だ。
順番を待つ間、私に笑いかけてきた男の子が、さらに大きな笑顔で手を挙げていた。
「え、と。……都築くんね。どうぞ」
手元の座席表に書かれている名前をたどって、彼を促すと。
自信ありげに立ち上がって。
完璧な正解を口にした。
わが社の転換社債は第5回まで発行されていて、現在は第3回発行分以降の転換社債が市場で取引されている。
その事と、第3回以降の転換価額を正確に答えた彼に、その場はほーっと感嘆の声が上がった。
「それじゃ、わが社が発行している転換社債の転換価額を知っている人はいますか?」
冷静に、なんの感情も含めないような声で、淡々と聞いてみる。
会場の後ろに立っている研修部の部長が苦笑するのが目に入った。
『いじめるなよ』
そう言っているのが聞こえるようだ。
いじめているわけじゃない。これも、れっきとした総務部の業務説明なんだから。
にっこりと笑って部長を見返すと、途端に肩を竦めた部長。
その様子を無視して、新人たちに視線を戻すと。
一人の男の子が手を挙げた。
あ、さっきの男の子だ。
順番を待つ間、私に笑いかけてきた男の子が、さらに大きな笑顔で手を挙げていた。
「え、と。……都築くんね。どうぞ」
手元の座席表に書かれている名前をたどって、彼を促すと。
自信ありげに立ち上がって。
完璧な正解を口にした。
わが社の転換社債は第5回まで発行されていて、現在は第3回発行分以降の転換社債が市場で取引されている。
その事と、第3回以降の転換価額を正確に答えた彼に、その場はほーっと感嘆の声が上がった。