流れゆくもの
何となく視線を感じて振り返ってみたら、やっぱり誰かが自分の事見てた…なんて事、ありません?

そんな感じなンです。
何となく体が重くなって、ああ、またか…なんて思って辺りを見回す。

例えば、例えばですよ、藤野さんが僕の事、大っ嫌いだったとしますよね?
もう無条件に嫌いでやる事なす事気に入らない。
でも僕はそんなに嫌われてるとは夢にも思っても無い、と。


で、そんな藤野さんがアッチの方のあの隅の机で仕事をしてる。
僕を睨むでもなく、少しでもこっちを見るでもない。
ただ、意識の隅っこで、ああ嫌な奴が来た、早く帰らないかな、なんて思ってる。


その、藤野さんの周りにユラユラ浮いてる僕への悪意がひとつの固まりになって飛んで来るわけです。


急に体が重くなって。で、ああ、僕はあの人に嫌われてるんだな、なんて初めて認識したりする訳で。


エェ、どこらへんから発せられてるかまで、最近は察知しちゃいます、エェ。


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