三題噺
次の日の夜。
あたしはまた家を抜け出した。
あの少年に会うために。
昨日と同じ場所に彼は座っていた。
「また来たの?」
彼の声はとても綺麗だった。
その声をもっと聞きたくて、彼の近くに座った。
「なにしてるの?」
そう聞くと、彼は微笑みながらいろいろなことを教えてくれた。
趣味が天体観測だということ。
よくここで、星を観察しているということ。
それから、あたしより年上だということ。
「晩秋の日にね、ある魔法をかけると星になれるんだよ」
「帰って来れないの?」
「…うん」
そのとき、初めて彼は悲しい顔をした。
その顔を見るのが辛くて、あたしは彼がどこにも行かないよう抱きついた。