俺が初恋??それってどうなの??
俺がそう言うと、



鏡子は再び話し始める。



「彼・・・・・結婚しているの。奥さんがいるのよ。私はそれを知った上で付き合ってる。それでもいいって思ってた。それくらい彼が好きだから・・・。今だって奥さんからの電話で家に帰ったのよ。だからここに戻ってくるとは限らないの」



鏡子の大きな瞳は、言葉とともに悲しげに影を落とした。



俺は黙って小さくうなずきながら、そのまま話を聞いていた。



鏡子は1つため息をついてから、



「あの雨の日、彼からメールがあったの・・・それで・・・奥さんに赤ちゃんが出来たって知ったの。私、なんだかすごく彼に裏切られた気がして・・・・・そんなことで彼を責める立場ではないのに・・・・」



と、言った。



そして、そこまで言うと、



鏡子の瞳は涙で包まれ始めた。



1度流れ始めた涙は、



止まることを知らないかのように、



鏡子の瞳から流れる。



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