小さな宝物
第①章 ~出会い~
あたし、塩谷あおい(15歳)ただいま電車酔い中…。


『うぅ…ぎもぢわるい。』


あたし今きっと不細工。


さっき起きて朝ご飯のサンドウィッチ詰め込んで、ダッシュで電車に駆け込んで、挙句の果てにすごい混雑…。座れないし。


有り得ない!?


いつも電車通学のあたしでもさすがにこれはヤバイ!


悪いのは寝坊したから?


通勤ラッシュの電車に乗ったから?


そんなのどぉでもいい!?


吐く!!


『おいっ!』


『えっ?』


その場にしゃがみ込もうとしたあたしにその人は言う。


『口当てとけ!だいぶ違うだろ!』


あっ…タオル。誰?


男の人。


その人はあたしにタオルを渡し、近くの女の子が一人やっと座れるくらいあいた席に、あたしを座らせてくれた。


お礼言わなきゃ…


ダメ。上向けない…。気持ちわるい…。


『うぇっ…』


慌ててタオルで顔を覆う。


吐き気が落ち着いた時にはいつもあたしが降りる駅。


誰がこのタオルを?


辺りを見渡すがソレらしき人は見当たらない。


タオルでのおかげで最悪な顔人に見られずにすんだ…。


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