小さな宝物
あたし達は急いで3組の教室に向った。


みんなはそれぞれ仲の良いグループを作って集まってた。


なんかすごい新鮮!


『窓側の席に座ろ!』


ちづるがあたしを引っ張って窓側の一番後ろの席に行く。


『ねっ!キムキムって何年生なのかな?』


席に着くなりちづるはあたしに話しかける。


あたしの憧れの人は、いつの間にかキムキムというニックネームをつけられていた。


『あ…』


あたし…スッカリ忘れてた!


もしかしたら…もぉ卒業していないかもしれないんだった!!


あぁ…


テンション下がる…


『あっ…て何よ?なんで暗くなるの?何?』


机から身を乗り出して聞いてくるちづるに、あたしは今朝お兄ちゃんに言われた事を話した。


『あ~…全然頭になかったね。ごめん。』


ちづるは申し訳なさそうに謝る。


『なんで謝るのさ~ちづるは悪くないし!』


あたしは慌てて否定した。


『なんか責任感じるよぉ…あたしがこの学校受験しよぉって言ったのに』


あちゃ~ちづるってば気にし過ぎ…


『まだいないって決まったわけでもないんだしさ!』


あたしは必死になって言う。


『そぉだけど…』


ちづるは納得いかない様子でうなだれる。


あぁ…言わなきゃよかった。入学早々嫌な思いさせてごめんね。ちづる。


そうこうしてると、体育館に集まるよう放送が流れ、あたし達は体育館へ向った。


ちづるはスッカリ元気がない。


はぁ…困った。ちづるは落ち込むとトコトン落ち込むからな…


いつもなら入学式なんて退屈で眠いだけなのに、今日は考え事してるせいかあっという間に終わりが近付いていた。


『それでは、新入生代表は前へ。』


やっと入学式にスイッチを切り替えたあたしの耳には、教頭先生の言葉が入ってきた。


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