小さな宝物
★真実★
入学式から1ケ月がたった。
新しい毎日は新鮮で楽しくてあっという間に過ぎて行く。
クラスのみんなが仲良くなり始め、友達も増えた。
あたしはというと…
恋の病だ…
『はぁ…』
ただいま5時間目で研修中。
グラウンドでは3年生が体育で野球してる。
生徒会長もいる。
あたしは…
教室の窓から会長を見てるんだ。
遠くから見ててわかる。
会長は人気者だ。
だってね…
いつも周りには人がいるの。
みんなと仲良しで、いつも笑ってて…
素敵!
『おぉ~い!ちゃんと研修しなさい』
ちづるが振り返ってあたしを叱る。
そぉ。あたし達は窓側の席で前後なんだ。
1ヵ月間は好きな席で仲良くなろぉっていう担任の意向だ。
『ね~ちづるは会長カッコいいって思わないの?』
あたしは会長から目を放さずにちづるに聞いた。
『ん~…確かにカッコいいよ!けど、タイプぢゃないんだぁ』
ちづるはあたしとはタイプが違う。
今までお互いの好きな人も、憧れの芸能人もかぶったことがないくらい。
きっとあたし達は恋愛ではもめたりはしないだろう。
『会長があの時の素敵な人なのかな~?』
あたしは机に顔をふせて溜め息混じりに言う。
『ん~どぉだろ?あっ!』
ちづるは言い終わると同時に、いきなり立ちがった。
『何?』
『せっかくの研修なんだし!先生のとこ行って情報収集しちゃおっか!』
ちづるはあたしを手招きしながら教室を出ていった。
『何々?どぉいうことよ』
あたしは半信半疑でちづるに着いて行き、あたし達は職員室の前に立った。
『ちょっ…ちづる!情報収集って…会長の?』
あたしは職員室に入ろうとするちづるの腕を掴み引き止める。
『違うよ~卒業生に木村って名字の人がいたのかを聞くの!』