小さな宝物
思い立ったら即、行動。


この言葉はちづるの為にあるのだろう。


『そんな事聞いて大丈夫かなぁ…?』


オドオドするあたしにちづるはお構いなしで職員室に入って行く。


『失礼しま―す』


あぁ…ちづるってば即戦力だ。


あたしにはこぉいう勇気がないんだよね。


あたしもちづるに続いて職員室に入る。


『失礼します』


ちづるはもぉ担任の席にいる。


え~こんな静かなとこで聞くの!?


『ちょっと…』


不安な表情でちづるに駆け寄る。


『なんだぁ?質問か?』


担任はニコッとして言う。


この人は田中弘人(29歳)あたし達のクラス担任だ。


あたし達は密かに弘君って呼んでる。


弘君は顔立ちが整ってていつもニコニコしてる。


いわゆる可愛い系だ。


人とまっすぐ目を合わせて話し、生徒と無邪気に接する可愛い先生。


『うん!弘君ちょっとコッチ来て』


ちづるは先生を廊下に呼び出した。


ちづるってば積極的!?


尊敬しちゃう!


『弘君ってなんだよ~先生だろ~!てか、敬語使え!敬語!』



半分冗談で言いながら弘君も着いてくる。


『なんの質問だぁ?勉強以外受けつけねぇよ?』


弘君は髪をボサボサさせながら言う。


ぷぷっ…可愛い!


『ね~弘君!今年の卒業生に木村って名字の人いた?』


ちづるはなんの前フリもなくストレートに質問する。


『はぁ~?何の話だよ…卒業生?』


きっと弘君の頭の中はちんぷんかんぷんだ。


『知りたいの!?ねっあおい』


ちづるはいきなりあたしにフってくる。


『あっ…うん』


あたしは慌てて下を向きながら答えた。


『なんだぁ?木村?俺、この学校来てまだ2年だけど、木村って名字は3年の木村しかしねぇかな』


弘君はあたし達がなんでそんな事を聞くのか不思議そぉに答える。


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