小さな宝物

★立候補★

あれから1週間。


今日はちづると生徒会室に見学に行く予定。


だって弘君が来いって言うから。


ただいま4時間目。


春風が気持ち良くてあたしはいつもウトウトしちゃう。


『塩谷!寝てんなよ~』


ビクッ!?


やばい…バレてた。


あたしは慌てて教科書に目を落とす。


4時間目は数学。


よりによって数学は弘君の教科だ。


『春だし、恋の悩みかぁ~?』


弘君はニヤニヤしながら変に探ってくる。


『違います!』


あたしは速効否定した。


弘君の攻撃にもだいぶ慣れた。


弘君は会長事件以来、あたしとちづるを気にかけてくれる。


あたし達の会話の後はいつも笑いが起きる。


きっと…教室でのこんな会話もクラスメイトからしたら楽しいのだろぉ。


――キーンコーンカーンコーン――


『はぃ!授業はおしまい。あっ学級委員!そろそろクラスも慣れてきた頃だ、明日のホームルームは席替えな~』


弘君はあたし達をチラ見してニコッてしながら、数学の教科書持って教室から出て行った。


『弘君絶対あたし達が席離れろって思ってんだよ!』


『そぉ…かな?』


ちづるもチラ見した弘君を見たんだろぉ。


ちづるはきっと弘君が好きなんだ。


あたしの勝手な想像だけど…


きっとそぉ…


『なによ?てかさ~今日は屋上でご飯食べよぉよ』


ちづるはあたしが密かに思い込んでる妄想に気付く様子も無く、自分の弁当箱を持って聞いてきた。


『いいね~』


『んぢゃ決まりね!行こぉ~』


あたし達は弁当箱を持って屋上へと向った。


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