小さな宝物

『うわっ…眩しい!!』

今日はホント天気良い!いつもは人が少ない屋上でも、今日はなかなか沢山来てる。


あたしは太陽があまりにも眩しくて思わず叫んだ。


『ひゃ~今日のファンデUVカットぢゃないのにぃ』


『ちづるは美容に命かけてるからね~!あたしなんてそんなん使ったことないし』


『もぉ~シミになるんだかんね!!あおい~端っこの影に行こ』


ちづるはホント美容にうるさい。毎日ちゃんとメイクしてるし、髪型だってオシャレだ。


あたしなんてメイクすらまともにしたことないし。髪の毛だって朝起きたまんま。


ちづるは女の子の鏡だね!


あたし達は急いで屋上の端っこの影に行き、お弁当をひろげた。


『ん~おいしい!!』


あたしはおにぎりを口いっぱいに頬張りながら叫ぶ。


『あおいはいいなぁ~いっつも可愛いお弁当だもん。あたしのなんてほとんど毎日一緒だし』


『そんなことないよ~ちづるのタコさんウインナーだってすっごい可愛いもん』


あたしは言いながらちづるのタコさんウインナーをつまみ食いした。


『あっ!ちょっと~あたしウインナー好きなんだからっ!あおいもなんかちょーだいよ!』


『ちづるがお弁当の悪口言うからだよぅ!あたしもウインナー好きだからだぁめっ!卵焼きならいいよぉ?』


『ウインナー返してよ~』


あたし達は真っ青な空の下、お互いのお弁当をはしでつつき合いながらギャーギャー騒いでた。


こんな時間が一番楽しい!


『こぉらっ!』


そんな楽しみな時間をさえぎったのは…こんな所で逢うとはおもってもなかった会長だった。


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