桜空あかねの裏事情
「リーデルとして、認められない」
これがまだ平常時だったのなら、朔姫もまた違う考えが出来たかも知れない。
だが現在のオルディネの状況として突然やってきた実力さえ不確かな少女が、自分達の頂点な立つなど、ただでさえ考えられなかった。
それは自分以外にも思っていた事だったので抗議する事は出来たが、ジョエルからして見ればそれはただの戯言にしか思っていないだろう。
そして誰がなんと言おうといずれは彼女を――桜空あかねをリーデルにするだろう。
少なくとも朔姫には、そんな予感がしていた。
「ジョエルさんが決めた事でも、私は……」
途中まで言って口を閉ざす朔姫。
「……朔姫がそうしたいなら、そうすればいいと思います」
問い掛ける事も責める事もせずに、意志を尊重するよう促す結祈。
「私も昨日署名したように、あかね様がリーデルに就く事は反対しています。ですが変わらずに接しようと決めました」
「変わらずに、接する…?」
朔姫は意図が掴めず、すかさず聞き返す。
「はい。例えリーデルであろうとなかろうと、あかね様自身が変わる事はありませんから」
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