桜空あかねの裏事情
昶が話す事を一字一句逃さまいと、真剣に耳を傾ける。
「けどな、ふと気付いたんだ。お前の事をそう思えば思うほど、オレはあかねに依存してるんじゃないかって思い始めたんだ」
「依存?」
「あかねからチームの事やあの男の話を聞いてるだけ。お前が大変な事を知ってんのに何もしない。いつもオレを支えてくれてんのに。オレはただ依存してるんじゃないかって」
「昶……」
自分に対して昶がそんな風に思っていたとは、あかねは予想すらしていなかった。
リーデルの事も出来れば自分自身で解決したいと思っていたし、そもそも誰かを宛にする事すら思っていなかった。
それと同時に、その事実を重苦しいと思う時もあった。
それでも昶に話すだけで気が軽くなれて、彼がただ耳を傾けてくれるだけでも充分な励みになっていたのは事実だ。
「人と関わる事が、拒絶される事が、裏切られ見捨てられる事が怖くてたまらない。ようやく見つけた信じられる相手に、依存しちまうオレなんかといたらダメな気がしたんだ」
「そんな……昶は何もしてなくないよ。昶のお陰で頑張れた事だってあるんだから」
あかねは訴えるように、切実に言葉を掛け続ける。
「肝心なのは、何かしてくれる事じゃなくて、私と昶が互いにダチだと思っている事。だから……」
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