桜空あかねの裏事情


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「と」

「う」

「「ちゃーく!!」」


波乱の林間学校も無事終わり、帰路につくバスの中でそれぞれ思い思いに過ごしていた。
そして最終目的地である大徳高校に着いた途端、あかねと昶はバスを勢い良く飛び出し、それぞれポーズを決めながら叫んでいた。


「うわー。お二人さん、めっちゃ元気」

「瀬々もやろうぜ!」

「えーいいよ。俺、これから仕事だし」

「仕事?」

「そう」


瀬々は山積みになっている荷物の中から、素早く荷物を取り出して肩にかける。


「先輩の後を付いてくだけなんだけど、これがまた楽しくて。んじゃ、そういうことなんで」

「お気をつけてー」

「どーも。桜空さん、絶対店に来てよ?大サービスするから」

「行きたいけど場所よく分からん」

「アーネストさんに聞けば分かるッスよ。んじゃお先に失礼しまーす!」

荷物を軽々しく持って、瀬々は慌ただしげに学校から去っていった。


「桜空さん」


丁度入れ替わるように、荷物を持った朔姫が現れる。


「桜空さんの荷物あったから、取ってきたわ」

「あ、ありがと」


あかねは荷物を受け取る。


「いつもありがとう」

「気にしないで。それに私の方こそ」

「え?」

「ううん。ただ……仲直り出来て良かったと思って」


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