桜空あかねの裏事情

朔姫がそう言えば、あかねは至極嬉しそうに笑った。


「うん!山川さんが昶に言ってくれたんだよね?」

「ええ。大した事ではないけれど」

「そんな事ないよ!お陰でちゃんと話し合えたよ。本当にありがとう!」


手を取って礼を述べれば、朔姫はほんのりと頬を赤く染めて、嬉しそうに微笑んだ。


「あ……あの、桜空さん」


思い出すように朔姫は話を切り出す。


「さっき結祈からメールが来たんだけど、夕食作って待ってるみたいなの」

「そうなの?じゃあ早く帰らないと……あ」

「?」

「ちょっと待って」


それだけ言って、あかねは少し離れた場所でクラスメート達と話している昶の方へ向かって行った。


「昶!」

「おう!」

「うちらもう帰るんだけど」

「もう?」

「うん。夕食作って待ってるんだって。それでさ、昶も一緒にどう?」

「え、いいのか?」

「さぁ……でも一人ぐらい大丈夫な気がする」

「なんか不安だな」

「む。で、どうする?無理にとは言わないけど」

「行くよ。オレさ、実はジョエルに言いたい事があるんだ」

「分かった。じゃあ早く行こう」



―――――――
―――――
―――



.
< 341 / 782 >

この作品をシェア

pagetop