桜空あかねの裏事情
朔姫がそう言えば、あかねは至極嬉しそうに笑った。
「うん!山川さんが昶に言ってくれたんだよね?」
「ええ。大した事ではないけれど」
「そんな事ないよ!お陰でちゃんと話し合えたよ。本当にありがとう!」
手を取って礼を述べれば、朔姫はほんのりと頬を赤く染めて、嬉しそうに微笑んだ。
「あ……あの、桜空さん」
思い出すように朔姫は話を切り出す。
「さっき結祈からメールが来たんだけど、夕食作って待ってるみたいなの」
「そうなの?じゃあ早く帰らないと……あ」
「?」
「ちょっと待って」
それだけ言って、あかねは少し離れた場所でクラスメート達と話している昶の方へ向かって行った。
「昶!」
「おう!」
「うちらもう帰るんだけど」
「もう?」
「うん。夕食作って待ってるんだって。それでさ、昶も一緒にどう?」
「え、いいのか?」
「さぁ……でも一人ぐらい大丈夫な気がする」
「なんか不安だな」
「む。で、どうする?無理にとは言わないけど」
「行くよ。オレさ、実はジョエルに言いたい事があるんだ」
「分かった。じゃあ早く行こう」
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