桜空あかねの裏事情

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そう言ったのは人影の一人。
声からして若い男だ。



「エモノ♪エモノ♪」


それに便乗するようにもう一人が呟いた。
場違いな程に幼く、そして高い声が愉しげに響く。


「うーん。獲物とは心外だね」

「何を言いますか。私達から何年も逃げ続けた貴方は最上級の獲物であり、もはや脅威なのです」


落ち着きながらも凛としたその声に、男は苦笑する。


「脅威かぁ……酷いねぇ。今の俺は裏の世でさえ、まともに生きてはいけない、しがない流浪人だよ?」


流暢に言葉を紡いでいるが、手から武器を話さないように、男は決して警戒を解いたりしない。


「はぁ……やれやれ。いい加減諦めてくれると嬉しいな。こっちだって、報復とか復讐とか色々なものを、諦めてるんだから……さッ!」





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