桜空あかねの裏事情
そう聞いて、あかねは思わず微笑む。
「愛されてたんだね」
「ええ。私の悩みは些細な事だったの。でも言わないままだったら、きっと分からなかったと思うわ」
言い終わると、朔姫はどこか満足そうに優しそうな笑みを浮かべた。
「ありがとう山川さん。話してくれて」
「少しでも桜空さんの力になれたらと思って」
「うん!大分、気持ちもスッキリした。山川さんが友達で本当に良かった」
満面の笑みを浮かべながら、明るい声で紡がれた言葉に、朔姫は驚きからか目を瞬かせる。
「あの…友達って」
「うん?山川さんは友達でしょ」
さも当然だと言わんばかりのあかねの様子に、朔姫は僅かに頬を紅潮させる。
「なら……私の事は朔姫って呼んで」
「うん!なら私の事もあかねって呼んでね!」
「ッ…ええ」
楽しそうな声に嬉しくなった朔姫は、あかねとまだ話がしたいと思った。
「私……あかねの事、もっと知りたい。好きな物とか得意な事とか……何でもいいから聞かせて」
「うん!」
あかねと朔姫はその後、夜が更けるまで語り明かした。
その中で朔姫は、今までとは違う自然と微笑んでいる自分に気が付いた。
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