桜空あかねの裏事情
「ああ、お馴染みの世襲制ってヤツか。でも桜空家は代々女傑の一族なんで、あかねっちが普通に最有力候補じゃありやせんか?」
「そう言われても……」
知らないものは知らないのだ。
「ちなみに、長男さんの次期当主としても手腕はどうなんスか?」
「さぁ……私は知らないし興味ないね。それに生家がどうであれ、私は私だから」
話を纏ると、あかねはペットボトルの中身を一気飲みする。
「で、そんな事より泰牙さんの事、話してよ」
「了解…と言いたいとこなんスけど、残念ながら今持ち合わせているのはこれだけなんスよ。だから後日、藍猫に来て下さいッス」
「いいけど、土日はダメだよ。葛城さんと特訓があるから」
「じゃあ16日の放課後なんてどうッスか?それなら案内も出来るし」
「それなら……あ、でも対価は?」
対価と言う言葉に、瀬々は何故か目を輝かせる。
「一番重要なことを忘れてやした。まぁ学割もそれなりに効くんで、そんなに高くないッスから安心して下さい」
「でも何を対価にすればいいか分からないんだけど」
「それなりに価値ある情報でいいんスよ。あ、つってもあかねっちは基準さえ知らないのか……」
瀬々の呟きに、静かに頷く。
「そうッスねぇ………こんなのはどうッスか?」
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