桜空あかねの裏事情
的外れな答えとアーネストの生き残りを擁護する発言に、陸人は思わず眉を顰める。
彼は生き残りと接点があったのだろうか。
はたまた生き残りについて何か調べていたのだろうか。
思考を交錯し広げていくうちに、ある一点に辿り着いた。
「ああ……そっか。そういう事か」
「どうかしました?」
「ふふ。アーネストの性格の悪さは知ってたけど、あかねちゃんも可愛い顔して存外強かだね」
やや毒吐きながら笑って独り言を言い始めた陸人に、思わず怪訝な表情を向ける。
意図が掴めていないのだろう。
「結祈は分かってないと思うから言うけど、あかねちゃん……彼をオルディネに所属させるつもりだよ」
「…え?」
「ま、確かにアヴィドに付け狙われて、いつ死んでも可笑しくないのに、未だ生きてるぐらいだもんねー。それ相応の戦闘能力があるわけだ」
「それは……またいつもの冗談ですか?」
「あははっ!こんな時まで冗談を言うほどバカじゃないよ。生き残りさんは無所属の異能者の中で、間違いなくトップクラス。考えようによっては、彼もまた今のオルディネを救済するに、もってこいの人材だよねぇ」
「……」
「でもあかねちゃんは単純に彼を仲間にしたい。でも彼が嫌なら、無理強いはしたくないって思ってるかもだけど」
そう言いながら、更に深く笑みを浮かべる。
「アーネストは絶対違うね。何が何でも、生き残りを絶対オルディネに所属させる。その為に、ここに連れてきたんだ。彼を手厚く迎え入れて、信頼を勝ち取る為にね」
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