桜空あかねの裏事情

ヴィオレット 円卓の間



あかねが攫われた後、電話で結祈とアーネストを呼び寄せた朔姫は、気絶している昶と共にヴィオレットに保護された。
それから数時間後、アーネストより連絡を受けたジョエルや陸人達も駆け付け、円卓の間は深刻さを現したような緊迫した空気に包まれていた。


「話を纏めると、藍猫からヴィオレットへと向かっている途中に襲われた」


そこまで言って、アーネストが目配せをすると朔姫は黙って頷く。


「最初は君達と年の変わらない女の子。次は男女三人組。そしてあかね嬢を攫ったのは、突然現れた男。で合っているかな?」

「はい。その通りです」

「ふーん。お子様相手にしては、随分手が込んでるじゃん。ていうかー、ソイツらもボクらを襲ったヤツとグルだね、絶対」

「え……陸人さん達も襲われたんですか?」


椅子の上でふんぞり返る陸人に、朔姫は思わず尋ねると、彼はどうでもいいと言わんばかりに間抜けた返事をして、話し始めた。


「お腹空いたのに結祈がいないからさー、腹いせに駿を呼んで食堂で遊んでたんだ。そしたら大きな音がして、出てみたら玄関吹っ飛んでてさ。マジでビックリ」


楽しげに話してはいるが、別室で昶の容態を見ている結祈が聞いていたら、絶対怒るだろうと朔姫は密かに思う。


「それでぱっと見て、20人ぐらいかなぁ……いきなり攻撃してきたから、焦っちゃったよ。近所迷惑にならないかなーって」

「はぁ……」

「まぁそれは大した事無かったんだけどさー、その後にやってきたヤツらが面倒くさくて。駿は異能使い過ぎて倒れちゃうし、最終的にボク一人で戦う羽目になって最悪だったよ」


その言葉に、傍にいた駿はばつが悪そうな顔をする。
ジョエルの話ではどうやら彼は異能を使用すると、体に負担を掛かる体質らしい。
若干だが顔色が悪い。


.
< 563 / 782 >

この作品をシェア

pagetop