桜空あかねの裏事情

「まぁオルディネにもあるから、別に珍しい事でもないんだけどねぇ……アロガンテの場合は少し特殊なのよ」

「特殊?」

「あー!知ってるー!確かぁ……他チームに命を狙われてた先々代のアロガンテのリーダーが、創作の異能者に頼んで造らせた、開かずの扉があるんだよね?」

「ええ。その通りよ」


話が進んでいくギネヴィアと陸人を余所に、予備知識を持っていない駿は、事情をうまく飲み込めない。
一人沈黙を貫いている。


「宜しければ、ご説明致しますよ」

「すまない。頼む」


結祈が声を掛けると、駿は申し訳なさそうにの言葉を紡いだ。


「では最初に、アロガンテについて軽く説明致します。まずチームというものが成立したのは、十九世紀後半であるのは存じているかと思います」

「無論。基本中の基本だ」


そう言い切れば、結祈は微笑む。


「そうでしたね。チーム・アロガンテが誕生したのは二十世紀半ばで、新チームに分類されています」


現在、日本にあるチームは大きく分けて、二つに分けられる。
一つは異能力、品格、教養など全てが備わっている者を、頂点とする伝統と格式ある旧チーム。
もう一つはただ純粋な異能力のみを求め、最も強い者を頂点とする新チームである。
分け方としては、二十世紀前半に設立されたか否かとされており、かけ離れている思想により争った事もあるという。
また現在でも、旧新で水面下で反目しあう事もあるようだ。
ちなみにオルディネは、最初に設立されたチームなので、紛れもなく旧チームである。


「現在は表立ったことはありませんが、設立直後からアロガンテは他チームとよくいがみ合い、いざこざが絶えなかったと聞いています」

「………」

「特に酷かったのは先程、話に出た先々代アロガンテのリーダーだったようです。どのような事をしたかは知りませんが、時には死者を出す惨事もあったとか」


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