桜空あかねの裏事情
「そう言えばさ、あかねって目が青いよな」
気になっていたのか、そう言ってあかねの顔を覗くように見る昶。
彼女のその印象的な青い瞳は、全てを見透かしているような程に澄んでいて、まるで空のような、はたまた深い海を思わせるようだった。
「綺麗だよな」
「どうも」
「いやいや、本当だって!めっちゃ綺麗!もしかしてハーフとか?」
「いんや。純日本人」
そのはずだ。
母も父も日本人である事は勿論、血筋を遡っても異国の血が入っているなんて、あかねは聞いた事がない。
しかし兄弟達の中でも、青い瞳を持つのは自分だけ。
一時期、気味悪がられたり反感を持たれた事はある為、自身が異質である事は自覚している。
勿論それは、瞳の事だけではないが。
「そっか。そういう偶然ってのもあるんだな」
昶は納得するように頷き、呟いた。
その様子を見ながら、あかねもまた疑問を投げる。
「昶はどこから来てんの?」
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