嗚呼、素晴らしきかな。
「何してんだよシュウ」
「別に何もしてねーよ」
「あそこって確か、猫いたよな」
どこまでも空気の読めない奴め
「まあ、俺には関係ないけどなー。まさか、シュウ・・・あそこの猫に?」
「飼い猫のお嬢さんがどんなもんか見てただけだよ」
空気は読めないくせに変なとこ鋭いこいつは俺の友達のルイ
「飼い猫なんてろくなのいねーよ。住む世界が違うからな」
「・・・そうだな。」
ルイの言う通りだ。飼い猫なんてのは世間知らずでわがままな奴ばっかで・・・俺達野良猫を見下すような奴だって少なくない
あの子もそんな飼い猫達と同じように俺達を小馬鹿にしているのだろうか・・・。
「そういや、あそこの窓・・・夜になると開いてるぜ。」
「は?」
そんな言葉に一瞬訳がわかんなくなった。
「毎晩、ちょっとだけ開いてんだよ。この前は窓際で空を見上げてたぜ」
ニヤニヤしながら言うルイに猫パンチを食らわせておいた。
「・・・興味持つのは勝手だけど、程々にしとけよ。」
この猫は何でもお見通しなんだろうか。そこまで見通せるなら空気の一つも読んでもらいたいもんだ。
「わかってるよバーカ。」
「なっ!?心配してやってんだよ」
「大きなお世話だ。」
「あ、そうだ。タエさんが探してたぞ」
「タエさんが?」
「なんでも、頼み事があるとか・・・。」
「ふーん。とりあえず行くか。」
タエさんの頼みとあっちゃ、聞くほかない。
「シュウはいいねー、好きな女をより取り見取りだ」
「猫聞きの悪いこと言うなよ」
冗談っぽく笑いなが隣を歩くルイに向かって小石蹴っ飛ばせばちょうど顔に当たったらしい
ハッ、ざまぁみろ