【短】時を超えても愛してる 上
その日から私と土方さんの距離は少しずつ、でも確実に縮まっていった。

「おい、櫻茶を頼む。」

「はい土方さん!!」

「俺にも~」

「すまないが、俺にも頼む。」

「はい!沖田さんと一さんの分もですね♪」

「「「俺らにも!!!」」」

「ふふっ。原田さんと新八さんと平助君の分もちゃんと淹れてきますね。」

私はそう言って微笑んだ。

本当に、本当に穏やかだった。

だから忘れていたんだ。

ここがあの怒濤の時代だということを。

そしてこの後池田屋事件が起こった。

結果的には新撰組の名を上げることになったが、すべてがうまくいくわけではなった。

そして、禁門の変が起こった。

私は一生懸命に新撰組のみんなを支えた。

だけど、このごろよく倒れるようになってきた。

私直感的に現代に戻る時が来たんだと悟った。

あと、どれくらいここに居れる?

私は焦りを隠すように明るく振舞っていた。

だけど、その時は無情にも来てしまう。

今朝起きたときから景色がゆがむ。

そして、常に現代の風景が見える。

ああ、今日、私は飛ぶんだ。

もとの時代に。

これからなのに・・・・・

私は悔しくて必死に気を張っていた。
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