【短】時を超えても愛してる 上
「おい。櫻いいか?」

「あ、はい!」

なんとか一日を乗り切り夜部屋で休んでいると土方さんに呼び出される。

「お前、最近無理してないか?」

「え?」

「いつも、つらそうな顔をしてやがるからよ。」

「気づいてたんですか?」

私は驚いて唖然とする。

「あたりめえだ。これでもこの新撰組の副長だぞ?」

「っ・・・いつもそうやって土方さんは私を気にかけてくれるんですね。」

「・・・ああ。」

そう言うと少し土方さんの言葉がぶっきらぼうになる。

これは照れている証拠。

「どうしてですか?」

「お前に惚れているからだよ。」

「・・・・え?」

私は土方さんの言葉に唖然となる。

「う・・・そ・・・・」

「本当だ。」

土方さんは少し照れながら言う。

「最初は、ただのうるさい女だと思ってんだが、いつのまにか目が離せなくなっちまってな。俺はお前に惚れている。」

「っうれしい・・・・」

私は涙をぽりぽろと流す。

「私も、あなたが好きです・・・・」

泣き笑いで伝える。

すると土方さんが優しく抱きしめてくれる。

「ったく・・・・泣くんじゃねえよ」

「ふえっ・・・・」

やっと、やっとあなたと思いが通じ合えたのに。

ほら、もう時を飛ばなければいけない。

神様が私にもう時は充ちたんだよと、お前は現代に戻らなければいけないんだよとまるで言っているようだった。

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