さよならのその先に
あたしと吉野の関係を簡単に説明するのなら、セフレというものになるのだろうか?
元彼というには、付き合った期間はたった三ヶ月と短過ぎる。
もらった合鍵を初めて使ったあの日、吉野は知らない女の子とベッドで抱き合っていた。
彼女の白い肌に情事のしるしが赤い花びらのように散っていた。
吉野は何も言わずに、ただ黙ってあたしを見詰め返すだけだった。
悲しくて心が震えた。けれど、泣くことは出来なかった。
どこかで諦めていたのかもしれない。
「夏帆?」
吉野の声が色を帯びる。不覚にもドキンと胸が高鳴った。
「吉野、やめて」
「いい加減、名前で呼べよ」