さよならのその先に

吉野が消えてしまう。あたしの前から本当に。


「夏帆には伝えておこうと思って」

そう言いながら、吉野の指先があたしのブラウスの中に滑り込む。

「やめて」

動揺して声が震えてしまった。

その隙に付入るように吉野はあたしをベッドに押し倒した。

こうなることは吉野を部屋に招き入れたときからわかっていたのに。


肌を合わせると、吉野の身体から仄かに甘い香水の匂いがした。

途端にあたしの心臓がジクジクと痛み出す。


ああ、やっぱり。

……吉野は相変わらずだと思い知る。


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