《短編》家出日和
抵抗
高校生になりあたしは、髪の色をピンクブラウンに染めた。


それまでよりメイクも濃く、露出も高く。


“高校デビュー”とか言われれば聞こえは悪いのかもしれないが、

大した違いもないし、まぁ、そんな感じだ。


なのに見た目を変えたはずなのに、俊ちゃんはあたしのことを何とも思ってくれない。


嫌われれば、捨ててもらえるのに。


愛されれば、優しくしてもらえるのに。


相変わらずの関係はあれから全く変わってないし、

未だに俊ちゃんに呼ばれると一瞬震える自分が居る。





『亜里沙!
今日、うちの親遅くなるんだよねぇ。
暇なら、ビデオ観に来ない?』



何て昭和な誘い方だろう。


だけどあたしは、二つ返事で了承した。


ちなみにこの軽い系は、昨日から付き合い始めた男だ。


好きとか嫌いとかじゃなく、

単にコイツとヤったら俊ちゃんがどんな顔をするのかが、見たかっただけ。


俊ちゃんしか知らないあたしを、この男がどんな風に抱くのかが、見たかっただけ。


別に、この男じゃなくても良いけど。


ただ、俊ちゃんはあたしを優しく扱ってるのか、乱暴に扱ってるのか。


それが知りたかったんだ。





エイリアンとかってグロいものを観ながら、男はあたしにサカってきた。


どうやらコイツも、十分危ない系らしい。


合わせた唇の肉付きも、その味も。


全然俊ちゃんと違った。



『…亜里沙…!
俺もぉ、我慢出来ねぇよ…!』



我慢をする気があったことは意外だったけど。


俊ちゃんと全然違う声であたしの名前を呼ぶ男に、

“良いよ”とだけ告げた。



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