《短編》家出日和
『…何で“7”とか言うかねぇ。』
「…あたしの所為にしないで。」
先ほどよりも一段と冷たい風が吹きすさぶ。
曇り空と同じくぐもった色が広がる視界一面。
7個目で高速を降りてそのまま、真っ直ぐに走った結果がコレ。
通り抜けてきた街はお世辞にも“大きい”とは言えず、
不安ばかりが増す中で車を走らせた結果、海に出た。
とりあえず車を降りてはみたものの、さびれた海の家が点在しているだけ。
人っ子一人居やしない。
「…沖縄の海って、こんなんじゃないよね?」
『俺の所為にするな。』
諦め半分で問い掛けると、先ほどあたしが言った台詞と全く一緒の言葉が、
同じように諦め半分の俊ちゃんの口から出た。
何ともまぁ、虚しい限り。
『…修学旅行行かなかったヤツが文句言うなよ。』
返す言葉もない。
『風邪引くし、車乗ろうぜ。
とりあえず飯食って考え―――!』
言いながら背中を向けた俊ちゃんの後ろに続こうとした瞬間、
ヒールが砂に埋まったあたしは、顔から俊ちゃんの背中によろめいて。
思わず目の前にあった俊ちゃんの背中にしがみ付いた。
が、気付いた瞬間には、地味に痛いおでこと鼻。
「…痛い…」
自分の馬鹿さ加減に呆れてそう呟くと、首だけをまわした俊ちゃんが、
あたしを見降ろして噴き出しそうに口元を押さえた。
『…何やってんだよ。
子供じゃねぇんだから、しっかり歩けって。』
そう言って俊ちゃんは、呆れたように笑って。
鼻の頭をさすりながらあたしは、頬を膨らませた。
『亜里沙って実は、鈍臭ぇんだな。』
あたしの頭をポンポンとした俊ちゃんは、
また笑いを堪えながら歩きだした。
こんなに笑ってる俊ちゃん、見たことないかもしれない。
「…あたしの所為にしないで。」
先ほどよりも一段と冷たい風が吹きすさぶ。
曇り空と同じくぐもった色が広がる視界一面。
7個目で高速を降りてそのまま、真っ直ぐに走った結果がコレ。
通り抜けてきた街はお世辞にも“大きい”とは言えず、
不安ばかりが増す中で車を走らせた結果、海に出た。
とりあえず車を降りてはみたものの、さびれた海の家が点在しているだけ。
人っ子一人居やしない。
「…沖縄の海って、こんなんじゃないよね?」
『俺の所為にするな。』
諦め半分で問い掛けると、先ほどあたしが言った台詞と全く一緒の言葉が、
同じように諦め半分の俊ちゃんの口から出た。
何ともまぁ、虚しい限り。
『…修学旅行行かなかったヤツが文句言うなよ。』
返す言葉もない。
『風邪引くし、車乗ろうぜ。
とりあえず飯食って考え―――!』
言いながら背中を向けた俊ちゃんの後ろに続こうとした瞬間、
ヒールが砂に埋まったあたしは、顔から俊ちゃんの背中によろめいて。
思わず目の前にあった俊ちゃんの背中にしがみ付いた。
が、気付いた瞬間には、地味に痛いおでこと鼻。
「…痛い…」
自分の馬鹿さ加減に呆れてそう呟くと、首だけをまわした俊ちゃんが、
あたしを見降ろして噴き出しそうに口元を押さえた。
『…何やってんだよ。
子供じゃねぇんだから、しっかり歩けって。』
そう言って俊ちゃんは、呆れたように笑って。
鼻の頭をさすりながらあたしは、頬を膨らませた。
『亜里沙って実は、鈍臭ぇんだな。』
あたしの頭をポンポンとした俊ちゃんは、
また笑いを堪えながら歩きだした。
こんなに笑ってる俊ちゃん、見たことないかもしれない。