《短編》家出日和
園内には、閉園が近いことを告げる仰げば尊しが流れ始めた。
まだ1時間もあるというのに、何とも気の早い。
そして、あたしを焦らせる物淋しいばかりのメロディー。
ゆっくりと沈んでいく太陽は、最後に世界をオレンジの色に染める。
眩しいばかりの西日に目を細めながら、穏やかな象のあくび姿を見つめた。
自分から家を出たはずなのに、俊ちゃんに見つけてもらいたいだなんて。
虫が良過ぎたのだろうか。
こんな広い街の中で、人間一人を探せって方が難しいのに。
あたしはトコトン馬鹿なようだ。
期待するだけ損だ、って。
もぉずっと前から、わかりきっていたことだったのに。
今日一日で、どれほど俊ちゃんの存在があたしにとって大きなものだったかを、
再認識させられたから。
俊ちゃん一色だったね。
好きだった、って。
気付いたから、家を出てきたのに。
なのに好きだから、あの人のところに帰りたい。
どっちの気持ちが大きいのかなんて、あたしにはわかんないよ。
もっと勉強してれば、ちゃんとわかった?
それとも、俊ちゃんみたいに大人になれば、自然とわかるものなのかな?
ずっと昔、何も考えずに俊ちゃんのことが好きだった頃があった。
だけど今更同じ気持ちになっても、状況なんて全然違うんだもん。
泣きそうで、泣きそうで。
今日一日で、今まで我慢していたもの全てが溢れだしてくる。
俊ちゃんもいない独りぼっちは、すっごく寂しいよ。
まだ1時間もあるというのに、何とも気の早い。
そして、あたしを焦らせる物淋しいばかりのメロディー。
ゆっくりと沈んでいく太陽は、最後に世界をオレンジの色に染める。
眩しいばかりの西日に目を細めながら、穏やかな象のあくび姿を見つめた。
自分から家を出たはずなのに、俊ちゃんに見つけてもらいたいだなんて。
虫が良過ぎたのだろうか。
こんな広い街の中で、人間一人を探せって方が難しいのに。
あたしはトコトン馬鹿なようだ。
期待するだけ損だ、って。
もぉずっと前から、わかりきっていたことだったのに。
今日一日で、どれほど俊ちゃんの存在があたしにとって大きなものだったかを、
再認識させられたから。
俊ちゃん一色だったね。
好きだった、って。
気付いたから、家を出てきたのに。
なのに好きだから、あの人のところに帰りたい。
どっちの気持ちが大きいのかなんて、あたしにはわかんないよ。
もっと勉強してれば、ちゃんとわかった?
それとも、俊ちゃんみたいに大人になれば、自然とわかるものなのかな?
ずっと昔、何も考えずに俊ちゃんのことが好きだった頃があった。
だけど今更同じ気持ちになっても、状況なんて全然違うんだもん。
泣きそうで、泣きそうで。
今日一日で、今まで我慢していたもの全てが溢れだしてくる。
俊ちゃんもいない独りぼっちは、すっごく寂しいよ。