《短編》家出日和
―ドン!

「キャッ!」


最初に襲って来たのは、腕に感じた鈍い痛みで。


恐る恐る目を開けると、突き飛ばされたのであろう自分が、

俊ちゃんに見下されていた。


そのまま体が硬直するあたしの上に、

その自由さえも奪うように俊ちゃんが覆い被さる。



『…まだガキだと思ってたけど、ヤることヤってんだな。』


「―――ッ!」



言葉の意味がわからないほど、あたしはもぉ、子供ではなかった。


掴まれた手首は床に押し当てられ、恐怖心で体が震える。


視界一面を支配しているのは、大好きだった俊ちゃんの顔。


顔を歪めてあたしを冷たく捕える、大好きだった人の顔だ。



「…俊ちゃん…!
怖い…やめて―――!」


言い終わる前に塞がれたあたしの唇。


コーヒーと煙草の混じり合った味が、あたしの中に舌ごと入って来て。


何をされているかくらいはわかった。


だけど、何故こんなことをされているのかはわからなかった。


ただ、怖くて仕方がなかった。


初めて見た俊ちゃんの“本当の姿”に、ただ恐怖しかなかったんだ。



スカートの中をまさぐる大きな手は、そのままあたしの中に入って来て。


痛すぎて、言葉も出なかった。



「…痛いよ…!
やめてよ…俊ちゃ…!」


あたしの声なんて、聞き入れてもらえるはずもなくて。


あたしを引き裂き貫いた俊ちゃんのモノは、

この固いフローリングの床よりも、ずっとずっと痛くて。



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