続 青薔薇姫
「瑞華にあたしの気持ち分かる……?
いい思い出しかない瑞華には分かんないでしょっ!?」
「いい思い出……か。
それの基準は分かんないけど……。
お兄ちゃんとあたしは親に見捨てられて、そのお兄ちゃんも死んで、異常者だと罵られ、
あげくの果てには……初めての女友達に裏切られ、結局は嘘だったけど信頼していた仲間にも裏切られた。
………あたしだっていい思い出ばかりじゃない。
結以の過去がどれほど壮絶だとしても、自分だけが被害者だと思うな!?
結以の嘘によってどれだけの人達が傷付いたか……想像できる?
嘘をつくなら、大事な人を守る″優しい嘘″をつけばいい……。」
″優しい嘘″という言葉に、結以は反応を示した。
「………あたしはこれからどうすればいい?」
さっきとは違い、明らかに弱々しくなった結以。
あのヒステリックな叫びが嘘みたいだ。
「そんなの簡単だよ。
………人を許すことから始めればいい。」
「人を……許す……?」
「……そ。
どんなに許せなくても、許す努力だけでもしてみる。
そうすればきっと復讐したいなんて思わなくなる。
だからあたしも………結以を許すことにした。」
「え……。」
結以はあたしの言葉に驚いてるみたいだった。
まさか許してもらえるなんて思ってなかったんだと思う。
「あっ………そうだ。」
「……?」
あたしはふとあの言葉を思い出した。