続 青薔薇姫
「え………引っ越し……?」
突然親から言われた言葉。
……頭が真っ白になった。
学校のこととか新しい生活とかのことより、一番に頭に浮かんだのは瑞華だった。
瑞華と柚歩とも離れるんだよな………。
″離れたくない″
″瑞華のそばにいたい″
引っ越すことを瑞華に言ったら、どんな顔をするんだろうか……。
時が経つのは早いもので、引っ越す当日になってしまった。
昨日までに荷物はまとめてあるから、あとはゆっくりできるんだけど。
………結局、瑞華に引っ越すことを言えなかった。
「虎太ー、そろそろ行くわよー。」
「……うん。」
1階から聞こえる親の声で我に返り、よく使うものを詰めたカバンを持つ。
そういえば……この窓からよく瑞華を見てたな。
来てくれるのは、いつだって瑞華のほうからだった。
いつまでも思い出に浸るわけにもいかず、重たい足で玄関に向かった。