妖怪涼祭
朶茅と狹姫は近くの神社を巡ったり
ショッピングしたりした。
そして日も落ちはじめ
辺りが暗くなる。


「そろそろ、帰るか。」

「・・・うん。」

狹姫は 朶茅に手をひかれ
また 元きた道を辿る。

そして 完全に日が落ち 逢魔ヶ時。
妖達の 行動が一番に盛んになる時間帯。

辺りの木々が ざわめく。
朶茅は ふと足を止めた。
そして 狹姫の方を向く。

「ひッ!」

狹姫は息を呑んだ。
朶茅の目が・・・赤い。
髪の毛はユラユラとうねりあがっている。

「朶・・・茅?」
狹姫は後ずさりながら
朶茅を見つめる。


(こんなの朶茅じゃない、怖い、怖い・・・)

段々近づいてくる朶茅。
不気味な笑顔をつくり狹姫に聞く。
「どうしたの?」




怖いッーーーー!




チリーン





鈴が鳴る。



チリーン


チリーン


3回 鳴り
それぞれの妖怪達が現れる。
サトリ、ぬりかべ、ムラサキカガミが
いつになく真剣に
朶茅を見つめている。


「皆・・・どして?」

狹姫は 目を丸くして驚いている。
妖怪達はそんな狹姫を見、朶茅に向き直る。


そして狹姫に背を向けたまま告げる。


「こいつは、タヌキだよ。狹姫。」

サトリは狹姫に語りかける
狹姫は 相変わらずよく分かっていないみたいだが
それに ぬりかべ ムラサキカガミも続いた。


「あれは、悪者。狹姫の・・・敵。」

「お主の記憶を捏造しておったのじゃ。目を覚ますが良い。」


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