妖怪涼祭
「どうしてッ!なんで君がここに?」

狹姫は 驚いて少年に話しかける。
背が小さいため
膝に手を置き 屈んで話している。

「あぁ、お姉さん。屈んでちゃしんどいよね?」

「へ?」

狐のお面の男の子は
何か口で 言葉を紡ぐとみるみるうちに
成長し 狹姫の身長をも軽々と越してしまう。

「え、うそ・・・。」

狹姫は 自分より大きくなった
少年を見つめた。


「と言うよりこっちが本性なんだけどね。」

ニコッと愛想の良い笑みを狹姫に向けると
次は 怪しく笑った。

「ねぇ、お姉さん、僕何だと思う?」

自分の口元を指差し
僕は誰だと狹姫に問う。

「え・・・あなたは・・・・。」

その 少年を狹姫はジックリと見つめた。


細い目。
怪しい笑み。
変化。

「あなたは・・・狐ね?」
狹姫は 少年に問う。
少年は しばらく黙り
鈴を鳴らした。
白いヒモがついている鈴。



チリーン



「正解。」


「おぉ、こんか。」

ムラサキカガミが起き上がり 狐を見た。
「こん・・・?」

狹姫はムラサキカガミを見て
首を傾げた。

「あだ名。狐の。」

ぬりかべは そう呟くと 少し嬉しそうな顔をした。
どうやら こんは 皆に慕われている様だ。


「来るのが遅いよ。さ、ちゃっちゃとヤッちゃってくれ♪」

サトリが こんに
そう告げる。
こんは フッと笑みを浮かべると
狐火を 手に浮かべ
火事が起きそうなくらいの
火を 使い 狸を殺した。
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