妖怪涼祭
夏祭りのあの時
狹姫は初めて妖怪《サトリ》に出会ったと思ってた。
でもは鈴の音に呼ばれた時
怖さと共にどこか懐かしさを感じていた。

あの後 サトリに出会った後に
二人は気を失った。
目が覚めると狹姫はベッドの中で。
まるで夢のように思えた。
しかし


チリーン

緑のヒモを通した鈴がある。
手の中に。

これは きっと あの時呼んでいた鈴であろう。
では 何故自分が持っているのか?
分からない。
狹姫は鈴を見つめ首をかしげながらも学校へ行くために下へ降りた。

―――――――――

「狹姫、おはよ」
「あ、おはよ!朶茅!」

学校に向かう途中で狹姫の姿を見つけた朶茅は迷わず声をかけた。

狹姫は夏祭りの事を思い出し 朶茅に話す。
「私、妖怪に会ったの初めてだったよ―」
本当に妖怪なのかは分からない。
でも 心を読んだ。
鈴が呼んだ。


しかし朶茅は

「何・・・言ってるんだ?」


「え。」


あの時の話をいくら狹姫がしても
朶茅は 頭の上にクエスチョンマークを浮かべ 首をかしげるだけだった。

狹姫は悟った。
朶茅は覚えていないのだと。
何故かは分からないが。
分からない事が多すぎて 狹姫の頭はパンクしそうだ。

狹姫は とりあえず
話を変えいつものような話をして学校に向かった。


――――――――



昼休み。
狹姫は屋上へ向かった。
誰もいない屋上で狹姫はポケットに入れていた鈴を取り出した。
その鈴を眺めて
狹姫は 誰もいないのに
誰かに この現状の答えを聞きたくて。
「悟・・・私は、何者なの?私にだけしか妖怪は見えないの?何故私の前に現れたの?・・・お願い、応えて・・・」


そう 言って
両手で鈴をギュッと握りしめた。


すると
強い風が吹いた。
葉っぱが目の前に集まっていく。

「まさか!」

狹姫には覚えがあった。
葉っぱが集まって
全ての葉が落ちたとき
目の前にいるのは―・・・

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