妖怪涼祭
「さとりッ!!」

狹姫が名前を呼ぶ。
するとサトリはこちはを見て クスッと笑った。
そして狹姫をジッとみつめニコッと爽やかな笑顔をつくる。
「呼んだ?」


「呼んだッ!!」

(すごい!どうして来てくれたんだろ。)

狹姫はサトリに向かって
話かける。
「色々 話したい事があるのッ!」

グゥーーッ

狹姫のお腹が声を遮る。
恥ずかしそうにお腹を押さえる狹姫を
また いつもの笑顔で見るサトリ。
「お腹が空いてるのは分かってるよ?ついでに君が聞きたい事もね♪」

サトリは楽しそうに狹姫に話しかける。
風がなびいて
綺麗な翠の髪を揺らめかせるサトリ。


ーーーーじゃあ 何から話そうか?


サトリは狹姫の心に語りかける。
あまり聞かれたくない話なのだろうか。


狹姫の目の前を
フラフラと 歩き
フェンスに登り手を広げて綱渡りのようにバランスをとる。

「ちょっと!あッ」

危なくないよ?
妖怪だから。


あ、そ。

いつのまにか狹姫も心で応えるようになった。
狹姫は自分で持ってきたお弁当を広げながら サトリの話を待った。

しかし。


全部分かっちゃっても つまんないもんねぇ?
ちょっとずつ話そか♪

「えっ!!!」

狹姫はウィンナーを頬張ったまま目を丸くした。


じゃあ まず
何故 僕が君が願って現れたか。
そして その鈴はなんなのか。


狹姫は少し考えて
コクリと頷き“知りたい”と 意思表示した。


その 鈴はね・・・
なんていうのかなぁ?
人間界で言う電話やインターホンみたいなものだよ。

「?」
狹姫は首をかしげた。

うーん だから
君が それに話せば
僕は今みたいに応えられるんだ。

「へー!すごいね。」
狹姫は感心した様子で頷いて
鈴を眺めた。


で どうして君に渡した、か。

「うん。」

・・・・・・・。

「・・・どしたの?」

サトリは黙り込み
狹姫は はやく、と
続きを促す。

「契りだから。」

「え?」

今はこれしか言えない。
じゃあねっ!


「ち、ちょっと!」


“契りだから”
どういう契りかも分からない。
じゃあねと言って消えてしまったサトリ。
まだ 分からない事が多すぎる狹姫は
サトリが消えた方向をただただ見つめるだけだった。


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