妖怪涼祭
昼休み終了の鐘が鳴り
足早に戻る生徒たち。
狹姫も その中の一人だった。
しかし 屋上を出ようと走りだして、すぐ
見えない何かに ぶつかり
動けないのだ。



「私は何にぶつかってんのよーーー!」
叫びながら
何度もルートを変更するが 必ず“何か”にぶつかってしまう。
さっきから鐘が鳴って15分。
ずっと こんな感じだ。



チリーン



鈴の音がする。


チリーン


まさか この見えない奴も・・・

チリーン

「妖怪ッ!!!」


狹姫が 叫んですぐ
足から徐々に見え初め、灰色の髪の長身の男が現れた。
「・・・・なんで分かった?」

「鈴が鳴ったから」

狹姫は 負けじと
怖くないと威勢を張り
言い返す。

「鈴が鳴ったら・・・全部妖怪?」

「う゛ッ!」

しかし この男。
長身のクセに童顔でタレ目の なんだか可愛い後輩キャラの様だった。
それで 首をかしげると
何か、もう 完璧だ。

狹姫は その 後輩(?)的な可愛いさに
たじろぎながらも
言い返す。
「別にいいじゃないっ!・・・・名前、なんていうの?」

灰色男は
名前?と首をかしげ
少し考えて 両手をパンッと合わせ

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