わたしの魔法使い
朱里ちゃんはやっぱり、可愛い。

手を繋いだだけで、真っ赤な金魚みたいにパクパクしちゃって。

でも、僕も心臓がドキドキしてるんだ。

だって。

だって!

初めて指を絡めて繋いじゃったんだもーん!


女の人と手を繋ぐの、初めてじゃないけど、あんな風に指を絡めちゃったの、初めてなの!


何であんな風に繋いだのか、自分でもよくわからない。

でも、朱里ちゃんとはあんな風に繋ぎたかった。







しかし。

朱里ちゃんが好きな絵本、すぐに答えてくれるとは思わなかった。

子供の頃好きだった絵本でも、大人になるとタイトルを忘れちゃったりしちゃうから。

だから、かなり驚いた。



朱里ちゃんのお話はどれも、ハッピーエンドになる。

大抵の場合ハッピーエンドになるけど、朱里ちゃんのお話は、出てくる人の“好きな人と一緒にいたい”って言う気持ちが強い気がする。

答えてくれた絵本のように。

だから、その絵本を探したかった。

作家としての朱里ちゃんを取り戻すきっかけになればいい。

そう思ったから。


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