わたしの魔法使い
ドン!!


何杯目のビールだろう?

空になったグラスを力強く置くと、ついに朱里ちゃんが話し出した。



「颯太さん。私が作家だって言ったら、信じてくれる?」

「信じるよ。」

「何で?だって、私のこと、何にも知らないでしょ?それでも信じるの?」

「信じる。」

「――颯太さん、千雪が好きだって言ってたよね?あれが私だって言ったら、信じる?」


「…信じるよ。」

「何で?」

「何でも。」

「どうして?」

「どうしても。」



朱里ちゃんの強い目が僕を射抜く。

僕の心を見抜くように…。

朱里ちゃん、信じて。

僕は君を信じてるよ。

どんな君でも、どんなことがあっても、君の味方だから。



「私ね…作家なの…颯太さんが好きな、千雪って名前で書いてるの…。」

「…そう…」


そう話し出した朱里ちゃんの肩は小さく震えている。


「話す決心をしてくれて、ありがとう。

 でもね、無理はしなくていいんだよ。」


そういって僕は、朱里ちゃんの頭に手を載せた。







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